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醸し人九平次、蔵見学2007年11月26日


kuheiji_1今回はKameiの新栄店から10年近く提供している名古屋市緑区大高町にある蔵元 「醸し人九平次」さんの蔵見学に出掛けました。
愛知県と言う土地柄は昔から醸造業が盛んで大小多くの蔵が酒、味噌、醤油、酢などの生産を続けています。
地元の人は 、日本酒で愛知に美味しいお酒がある事を結構知らない人が多いように感じますが、 お酒好きには周知の事実で 「義侠」「蓬莱泉」「醸し人九平次」「長珍」 「初夢桜」などの全国区の銘蔵がたくさんあります。
今はもうなくなってしまったけれど、「半田の敷島」「津島の鯛新」も良い酒を造っていました。
今回はその中の「醸し人九平次」さんです。蔵に到着後、母屋の帳場横の応接間に通してもらう、文化財の指定も受けている建物で、大変 「趣」 がある建物です。酒造場も昔のものを出来るだけ残し、久野さんならではのセンスで土壁の塗り替えや建具の補修が施してあり心地良い雰囲気です。
なんでも 慶安元年(1648) 創業と言うことで、同じ緑区の有松では三浦絞の起源となる豊後絞りの技法伝える絞商・紺屋・絞括りを始めた頃と同時期のようです。(注:みどりの歴史)
伝統ある古い町並みの中から新しい感覚で一躍飛び出してきたのが「醸し人九平次」です。
当初付合いのあった愛知県の問屋さんには相手にされず、(こんなにいい酒なのに残念!)本物を見分けることの出来る東京のとある酒屋さんの門を叩いてから、醸し人九平次の快進撃は始まったのです。
当店でも、東京から時々ご来店されるお客さんで、東京では白吟ぐらいしか手に入らず、品薄であると言い、うちのラインナップを見て感激して全種類飲んでいったカップルがいました。(当時は今と同じレギュラーで、白吟、五百万石純吟、雄町純吟、山田錦純吟、大吟醸、スポットで 火と月の間に、御点前大吟醸 佐藤彰洋を揃えていました)

初めてお会いした久野九平次さんは、まず私達に麹つくりに掛ける思いを熱心に語ってくれた。
不勉強な私の知らない専門的なデータも包み隠さず、判りやすく、じっくりと語る姿に、造り手と酒販店、売り手である私達が力を合わせて、日本酒の良さを一緒になって伝えたい!と言う気持ちが痛いほど伝わってきました。
毎日、気の遠くなるような作業の繰り返しで、赤ん坊を育てるように面倒を見ないと、いい酒は出来ないと、ある蔵の杜氏さんは言っていたけど、久野さんはそれをひとつひとつ、「自分の蔵だったらどうする?」と言う視点で改革を続けている。
ひたすら納得の出来る酒を造るため、日本酒の価値を上げるために出来る事から始めている。


久野さんははとっても頭の切れる人、そしていい意味で名古屋人らしく、地道に一つづつ確実にモノにしていくと言う姿勢。いや~納得!いい手本がまた出来ました。

そしてフランス好きの私にもグッとくるのが、パリで営業活動をしていることです。一軒一軒歩いて開拓したのは、 リッツ パリ 、 ホテル ド クリヨン、 ホテル ムーリス、サヴォイ、などの超一流ホテル、そしてピエールガニエール、トロアグロ、アピシウス、と言った正統派フレンチ。
注目したいのはアランデュカスが手掛けるヌーベルフレンチのスプーンが入っていた事!(ダウンロードしたメニューにもSAKE Kamoshibito Kuheiji (18 cl)  Junmai Gingo Yamadanishiki と書いてあります。)
ちゃんと話題の店も取り上げている。リサーチがしっかりしているのとポリシーがはっきり伝わっている。
久野さんはパリで営業しているのは向こうのショップだけ、(蕎麦屋さんを一軒だけやっている)
とにかくパリで認められる事で、少しでも日本国内の若者や日本酒に興味のない人の気を引くことが出来たなら‥‥という想いはとっても共感できる。

さあ!僕達も日本で日本酒の良さを分かってもらえる様頑張らなくっちゃ!

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母屋の玄関を入ると‥‥       

 

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麹室で作業する杜氏 佐藤氏     仕込みたての五百万石のタンクを覗く吉兆さん

 

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 作業場から出てくる久野さん  

 

酒販店の 酒泉洞堀一 さん、亀島の やきとり吉兆 さんと記念撮影。電車で乗り越し共和まで行ったり、楽しい一日でした。皆さんありがとうございました。